成人歯肉由来線維芽細胞に及ぼすカドミウムの影響 : メタロチオネイン誘導合成と細胞周期との関連性
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概要
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カドミウム(Cd)の□腔組織に及ぼす作用を調べる目的で,成人歯肉より分離した線維芽細胞を用いて実験を行った。細胞をCd添加培養液中で培養し,Cd感受性およびメタロチオネイン(MT)誘導合成と細胞周期との関連性について検討した結果,以下の結論を得た。1. 非同調細胞の増殖およびDNA合成は,10^<-4>mM Cd以上で濃度依存的に抑制された。2. 非同調細胞とS期細胞のコロニー形成率は,10^<-4>mM Cd以上で濃度依存的に抑制された。各Cd濃度での抑制率は非同調細胞がS期細胞に比べて高かった。G_0/G_1期細胞のコロニー形成率は,10^<-7>mM Cd以上で抑制された。3. 非同調細胞の^<35>S^-システインの取り込みは,10^<-7>mM Cd群〜10^<-5>mM Cd群が対照群に比べ増加した。4. 10^<-7>mM Cd群と10^<-6>mM Cd群は非同調細胞の免疫組織学的MT染色を行った結果,対照群に比べ陽性像が多く認められた。5. 非同調細胞のMT濃度は,10^<-7>mM Cd群〜10^<-5>mM Cd群が対照群に比べ高く,10^<-3>mM Cd群と10^<-2>mMCd群では低かった。MTの誘導合成が最も高い10^<-6>mM Cdで4時間培養したところ,合成されたMT濃度はS期細胞>非同調細胞>G_0/G_1期細胞の順であった。以上より,成人歯肉由来の線維芽細胞におけるCd感受性は細胞周期で異なり,細胞周期とMTの誘導合成量との間に密接な関連性のあることが示唆された。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 1997-10-30
著者
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