閉経後女性の有歯顎者と無歯顎者における腰椎骨密度と下顎骨骨密度について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は閉経後女性における歯の存在が全身骨および下顎骨の骨密度と関連を有しているか否かについて検討することである。25歯以上の健康な歯周組織を持つ有歯顎者10名および無歯顎者8名の閉経後女性を被験者とした。腰椎骨密度(第2〜4腰椎)を二重エネルギーエックス線吸収法で,下顎骨骨密度を皮質骨領域と海綿骨領域に分けて定量的コンピューター断層撮影法により測定した。両群の差の検定にはt-検定を,腰椎骨密度と下顎骨骨密度との関係の検定には相関分析を用いた。その結果,有歯顎者群の腰椎骨密度および丁顎骨皮質骨領域の骨密度は無歯顎者群に比べて有意に高い値を示した。一方,下顎骨海綿骨領域の骨密度においては両群間に有意差は認められなかった。無歯顎者群では腰椎骨密度と下顎骨皮質骨領域の骨密度との間に有意な相関が認められたが,有歯顎者群では有意な相関のある測定項目の組み合わせは認められなかった。本研究により,閉経後女性において,健康な歯の存在が全身骨と下顎骨皮質骨の骨密度の維持に責献していることが示唆された。下顎骨皮質骨の骨代謝は天然歯を介した直接の咀唱力により影響を受けるが,歯が喪失すると,その代謝は全身骨の骨代謝に類似してくることが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 2000-06-28
著者
-
石川 烈
東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第2講座
-
石川 烈
東京医科歯科大学
-
植松 宏
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 老化制御学系専攻 口腔老化制御学講座 高齢者歯科学分野
-
坂東 薫
東京医科歯科大学歯学部 歯科保存学第2講座
-
野口 和行
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
-
新田 浩
東京医科歯科大学歯学部附属病院
-
誉田 栄一
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
-
植松 宏
東京医科歯科大学高齢者歯科学
-
植松 宏
東京医科歯科大学・口腔老化制御学講座
-
新田 浩
東京医科歯科大学大学院歯科医療行動科学分野
-
新田 浩
東京医科歯科大学 大学院 生体硬組織再生学 講座
-
笹生 宗賢
東京医科歯科大学大学院生体硬組織再生学講座歯周病学分野
-
坂東 薫
東京医科歯科大学大学院生体硬組織再生学講座歯周病学分野
-
坂東 薫
東京医科歯科大学 歯 第2歯保存
-
新田 浩
東京医科歯科大学 医歯総合研究 生体支持組織
-
笹生 宗賢
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体硬組織再生学講座歯周病学分野
-
誉田 栄一
東京医科歯科大学歯学部歯科放射線学講座
-
野口 和行
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
関連論文
- C-1 9 : 10 可溶型CD14を介したLPSによる歯肉線維芽細胞のICAM-1発現
- Actionbacillus actinomycetemcomitans, Porphyromonas gingivallsに対し高い血清抗対価を示した患者群の病態について
- B-15-11 : 30 Actinobacillus actinomycetemcomitansの血清型b抗原に対する患者血清抗体の性状分析
- 1A-8-10 : 40 ___- 381株の主要免疫抗原について
- A-2-910 Actinobacillus actinomycetemocmitansに対する患者血清抗体価 : 血清型a, b, cの各菌株に対する抗体価について
- 歯周病原細菌に対する血清抗体価測定法の改良について
- B-21-1630 ___- ___-の抗原性に関する研究 : 第1報-酵素免疫測定法(ELISA法)と免疫転写法(Immunoblot法)による抗原の検討
- マスティックエッセンシャルオイル配合歯磨剤の臨床的・細菌学的研究
- B-5-14 : 40 歯周病診断キット(PTMキット)の臨床応用 : 診断および再評価
- B-8-10 : 20 歯周病診断キット(PTMキット)の臨床応用 : 治療効果のモニタリング