下顎骨形態に影響を及ぼす潜在因子と顔面頭蓋形態との関連性について
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概要
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下顎骨各部と顔面頭蓋との関連性を明らかにするために, 下顎骨の形態のみならず頭蓋に対する下顎骨各部の傾斜にも着目し, 因子分析により下顎骨形態に影響を及ぼす潜在因子を推定した.結果は以下の通りであった.1. 下顎骨形態や頭蓋に対する下顎骨各部の傾斜に影響を及ぼす3個の主要因子が得られ, 下顎骨形態は上下顎の前後的関係, 顔面頭蓋の垂直的関係, 顔面頭蓋の前後径と後顔面高の比率により影響されることが明らかになった.2. 上下顎の前後的要因は, 下顎枝の傾斜, 下顎symphysis基底骨・歯槽骨の傾斜, 関節突起形態に対して影響を与えていた.3. 顔面頭蓋の垂直的関係は, 下顎symphysisの形態, 下顎下縁平面の傾斜に対して影響を与えていた.4. 顔面頭蓋の前後径と後顔面高の比率は下顎枝の形態に影響していた.5. 下顎symphysisは下顎骨形態のなかでも顎顔面の前後的, 垂直的変異に対して非常に敏感に対応する部位であることが示唆された.以上より, 下顎骨は顔面頭蓋の前後的, 垂直的変異に対し下顎骨各部の形態のみならず頭蓋に対する下顎骨各部の傾斜など, 下顎骨全体が対応していることが示唆された.また, 下顎骨形態には顔面頭蓋の骨格的変異に対する代償的な筋機能の適応も関与しているものと考えられた.
- 日本矯正歯科学会の論文
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