ラミニン結合性インテグリンを介するシグナル伝達とその生理的意義
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概要
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細胞外マトリックスに書き込まれた様々な情報は、細胞表面のセンサー分子により読み込まれ、細胞内シグナル伝達系の活性化を通じて、細胞の運動や増殖・分化の制御を行っている。このマトリックス情報を読みとるセンサー分子の代表がインテグリンである。インテグリンには、α鎖とβ鎖の組成が異なる20種以上のタイプが存在し、それぞれが特定のマトリックス分子(群)に対するセンサーとして機能している。我々は、上皮細胞に対する直近の細胞外環境である基底膜に注目し、基底膜への接着によってどのようなシグナルがインテグリンを介して細胞内に伝達され、そのシグナルがどのように制御されているかについて、研究を進めてきた。本シンポジウムでは、基底膜の主要接着蛋白質であるラミニンと結合するインテグリンα3β1とα6β1に着目し、これらのラミニン結合性インテグリンが12種類以上のラミニンアイソフォームに対してどのような結合特異性を示すか、また、これらのインテグリンから細胞内にどのようなシグナルが伝達され、このシグナルがフィブロネクチンのような間質マトリックスから伝達されるシグナルとどのように異なっているかを我々の研究室で得られた知見を中心にご紹介したい。また、これらのラミニン結合性インテグリンは、テトラスパニンファミリーの膜4回貫通型蛋白質と選択的に結合し、テトラスパニンウェブと呼ばれる超分子複合体を膜上で形成することが最近明らかにされている。我々は、ヒト胎盤から精製したインテグリンα3β1に強く結合している30kDの蛋白質を見つけ、これがテトラスパニンの一つであるCD151であることを最近明らかにした。本シンポジウムでは、このCD151とインテグリンα3β1の複合体の新規な生理機能についても併せて報告したい。
- 日本結合組織学会の論文
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