右房右室に浮遊血栓を認めた急性肺塞栓に対する2手術例
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概要
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右房右室に浮遊する血栓像を認める2例の急性肺塞栓に対し,緊急手術を行い良好な結果を得た.症例1は生来健康な48歳の男性,症例2は心筋梗塞の既往があり左室駆出率19%と左室機能不良な65歳の女性である.両症例とも心エコー検査にて右心系に浮遊する索状物を認め,急性肺塞栓を疑われた.術前の血行動態・呼吸状態は安定していたが,右房右室の浮遊物がさらなる肺塞栓を生じた場合には突然死の可能性が高いと考え,緊急手術を行った.手術は体外循環下に両側肺動脈から血栓摘除を行ったが,両症例とも体外循環開始前に急激な血圧低下を生じた.手術所見からは右心系血栓の遊離によるさらなる肺塞栓が原因と思われた.術後,症例1は速やかに回復し,症例2は左心不全のコントロールに難渋したが術後6ヵ月で退院にいたった.右心系血栓の存在は血行動態を急変させる可能性が高いので,たとえ血行動態・呼吸状態が安定していても緊急手術の適応と考える.また急性肺塞栓は術後や長期臥床,悪性腫瘍などのハイリスク症例に発生することが多いが,体外循環下肺動脈内血栓摘除は安全性の高い術式なので,症例2のような条件の悪い症例でも積極的に手術を検討すべきと考えた.
- 2004-07-15
著者
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増田 政久
国立千葉病院心臓血管外科
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大音 俊明
国立千葉病院心臓血管外科
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増田 政久
国立病院機構千葉医療センター
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増田 政久
国立千葉病院 心臓血管外科
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大音 俊明
国立病院機構千葉医療センター
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塚越 芳久
国立千葉病院心臓血管外科
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塚越 芳久
国立病院機構千葉医療センター
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