ステロイド長期連用中の下垂体機能不全症に合併した急性大動脈解離の1治験例
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概要
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長期間ステロイドを服用していた下垂体機能不全症に発生した大動脈解離を経験した.症例は58歳男性.20年前に下垂体腺腫切除を受け,続発性の下垂体機能不全によりステロイドホルモン(ハイドロコーチゾン:30〜40mg/日)と甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム:150〜200μg/日)を内服していた.Stanford A型の急性大動脈解離に対し,上行大動脈人工血管置換術を施行した.周術期ホルモン補充療法として,ステロイドは人工心肺開始前にメチルプレドニゾロン1,000 meを静注し,術後はハイドロコーチゾン500mgを4日開静注したのちに40mg/日を内服させた.甲状腺ホルモンは術後6日目よりレボチロキシンナトリウムを200μg/日で再開した.ステロイドの長期連用は大動脈壁の脆弱化から大動脈解離につながる可能性がある.このような報告はSLEなどにおいて散見されるが下垂体機能不全に合併した大動脈解離の報告は文献上白験例が3例目である.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2003-05-15
著者
-
阪越 信雄
河内総合病院 心臓センター内科
-
阪越 信雄
河内総合病院心臓血管外科
-
田山 雅雄
河内総合病院心臓センター外科
-
安田 治正
河内総合病院心臓センター外科
-
安田 治正
医療法人三世会河内総合病院集中治療部
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