大腿骨骨幹部骨折に合併した浅大腿動脈仮性動脈瘤の1手術例
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概要
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症例は46歳,女性.スキー転倒で左大腿骨骨幹部を骨折し,4日後に整形外科で髄内釘による固定術を受けた.その18日後に疼痛を伴う拍動性腫瘤が出現し,動脈瘤が疑われ当科に紹介された.動脈造影で,浅大腿動脈中央部に直径約6cmの動脈瘤が認められた.瘤切除,動脈端々吻合術を施行し,治癒退院した.骨折後の遅発性合併症として仮性動脈瘤は,その多くは骨と動脈が近接した部位に発生しており,浅大腿動脈中央部の仮性動脈瘤の報告はきわめて少ない.骨折から診断まで5〜8週要していること,診断の契機は,動脈瘤の局所所見のほかに,原因不明の貧血・出血による症状がみられていること,末梢の動脈拍動は保たれていることが特徴である.治療は本症の動脈瘤が仮性瘤であるため瘤切除のうえ血行再建が好ましい.転位の大きい骨折では,動脈と骨が離れている部位においても希ながら仮性動脈瘤が発生しうることを念頭においた経過観察が肝要である.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2003-01-15
著者
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