臨床医学の生体力学 : XIII 米国および日本における歯周疾患治療に際するコエンザイムQの使用成績
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概要
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米国においては青年層の60%が, 又中年層の80%もの多数の人々が歯周疾患に罹患している。多分日本においても同じことがいえるてあろう。現在歯周疾患の治療効果をより一層たかめることが要求されているが, しかし口腔内療法はあまり効果があがっていないと思われる。近年, 歯周組織の健康保持に全身の栄養状態が考慮されるようになってきた。又, 歯牙, 歯根膜, 歯槽骨等におよぼすビタミン類の生化学的研究も行われてきた。コエンザイムQ_<10> (以下CoQ_<10>と略) は歯肉のミトコンドリアにも存在し, 歯肉におけるエネルギー獲得には必要欠くべからざるものである。歯周疾患歯肉ではCoQ_<10>が欠乏していることが (p<0.001) たびたび報告されている。現在, 臨床で使用されているCoQはCoQ_<10>, CoQ_7, ヘキサハイドロCoQ_4の三種類であり, それらを用いた歯周病患者への投与が歯科医, 歯周病専門医によって行われている。その結果, このピタミン様物質に治療効果があることが証明された。又, 二重盲検法によるこれら三種のCoQの薬効がすでに6例報告されている。CoQはヒト組織においてはCoQ_<10>の型で存在している。そこで歯周病患者を8人のCoQ_<10>投与群と10人のPlacebe投与群に分けて二重盲検法による実験が行われた。CoQ_<10>投与群の8人中8人に, 又Placebo投与群では10人中3人に歯周疾患症状の改善が認められ, 統計的にCoQ_<10>の治療効果が確認された(p<0.01)。一方, 29人の歯周病患者について行われた実験では歯肉におけるCoQ_<10>deficiencyが100%, 又白血球におけるdeficiencyが86%の頻度で出現した。血液のCoQ_<10>deficiencyは栄養のアンバランスを意味する。特に口腔清掃状態が悪い場合には歯肉におけるCoQ_<10>の欠乏が歯肉炎, 歯周炎の増悪に関与すると考えられる。又, その逆に歯周炎が歯肉のCoQ_<10>deficiencyを惹起しているとも考えられる。CoQは生体のエネルギー獲得を促進するから, CoQ投与により効果的な治療が期待できる。又, 歯周疾患の基本的な治療と併行してCoQを投与すれば治癒を促進するであろうし, 予防にも使用しうると思われる。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1976-12-28
著者
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