豚の消化管内細菌叢に関する研究 : IV. 豚コレラウイルス接種豚における消化管内細菌叢
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概要
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健康豚および豚コレラウィルス接種豚の消化管各部位(胃,土部空腸,回腸,盲腸,結腸,直腸)の内容物について,その細菌叢の検査を行ない,次のような結論を得1こ.I.健康豚では,Lactobaci11usが消化管全体において最優勢であっIこ.Bifidobacteriumは,Lactobac111usの1/10~1/100程度に検出されIこ.S[reptococcus,Bacteroidcs,Escherichiacoli,嫌気性StrcptococcusおよびVeil10ne11aは,消化管上部で少なく,下部で多い.その他の菌種は非常に少ない.2.豚コレラウィルス接種後5日目の豚では,Enterobacteriaccae及びBacteroidcsの消化管全体における激増,Streptococcus及びVei110ne11aの消化管上部での著増,ならびにC10stridiumの下部での著増が認められナこ.一方,Lactobaci11usは全消化管において著減を示しIこ.Bifidobactc-riumは下部で,多少減少を示したが,比較的安定していた.Enterobactcriaccacの構成菌種として,E.cOllのほかに,Klcbsie11a,AcrobacterおよびCitrobactcrもかなり検出されナこ.3.豚コレラウイルス接種後1日目および2日目の豚では,その細菌叢は,健康豚と同様の傾向を示した.しかしながら,5日目では, Entero一bactcriaceaeに激増が認められナこ.4.豚コレラ不活化ワクチンの接種後,3週間置いて,ウイルスを接種し,その後約4月を経過しIこ豚では,消化管上部でStrcptococcus,Bactc一roidcsおよびEntcrobactcriaccacの著増,ならびにLactobacillusの著減が認められナこ.下部では,Streptococcus及びBactcroidcsの増加がみられナこが,他の菌種は,健康の場合と同様の傾向を示しIこ.全体としては,この豚の細菌叢は,健康豚と豚コレラ感染豚のそれらの中間型をなしナこ.5.消化管内異常細菌叢の形成に関与する要因について考察した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1969-04-25
著者
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