標準打込試験の実用性拡張の問題
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概要
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テルツァギとペックはN値(30.5cm貫入に要する打撃回数)と土の剪断抵抗値との関係について, 粘土の場合の平均値としてqu(kg/cm^2)=0.122N〜……(1)但しqu : 一軸圧縮強度であり, 砂の場合は内部マサツ角φ(deg)を図-8のように示している。このことは参考文献(1), (2)を初め数種の邦訳文中に記され, よく知られていることである。しかし上記の(1)式と図-8だけの実験値では, SP試験の実用性は少ない。土を現場観察で, 粘土・シルト質粘土・シルト・ローム・砂質ローム・砂及び砂礫に分けるとすると, 砂と砂礫を除けば実際の土質調査に際して, 出てくる土には粘土と名付けられる土が非常に少なく, シルト質粘土・砂質ローム・シルト・ローム等の「粘土でない粘性土」が多い。このような土に対して無差別に(1)式を適用することの不合理は言うまでもない。N値から士の剪断抵抗を判定し, SP試験を充分に実用計算に用いるには, 左)らゆる種類の土に対する実験結果を用意しておかねばならない。筆者はSP試験の実用性をできるだけ高度なものにするために, 機会あるごとに時間と費用の許される限り, この実験を続けてきた。ここに発表するN値と剪断抵抗との関係に関する実験結果は, 量的に決して充分なデータに基づくものとは言えないが, 土質調査の実務にたずさわる人のために参考になれば幸いと思い, 中間発表する次第である。参考文献(3)に記載された筆者のSP試験に関する実験結果は, 次の理由で補正すべき点が多い。すなわち当時(昭和27年4月〜28年7月)は筆者の研究所には三軸圧縮試験機が無かったので, 翦断試験は一軸圧縮試験或は直接剪断試験を行った。またそのテストサンプルは一軸圧縮試験用にはSP試験器(断面比112%)に入りてきたものを, 直接剪断試験用には内径60mmのドライサンプラー(断面比36.0%)で採取されたものを用いた。ヴォシュレフ(Hvorslev)の研究によれば不撹乱試料は断面比が10%以下のシンウォールサムプラーでなければ採取されない。ここに発表する実験値はすべて内径75mm或は60mmのシンウォールチュ一ブ(断面比6・5%或は6.8%)で採取されたテストサムプルを三軸圧縮試験によって測定したものである
- 社団法人地盤工学会の論文
- 1956-04-12