堤体および基礎における浸透流の有限要素解析について

概要

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浸透問題は古くからいろいろな方法で解析され, 論議されてきたが, まだ, 複雑な構造物や不均一な材料の場合に対する実用的な解析方法が定着していないように思われる。そこで, 著者らは, 電子計算機を用いて有限要素法による多孔質体内の定常浸透解析について説明し, 自由水面を有する場合の計算手順及び浸透流量の計算法について示した。また, この解析法を適用しての結果も示している。結果は均質なフィルタイプダム堤体内の浸透流の浸潤線及びポテンシャル分布を求め, Casagrande法による計算結果と比較することにより, この解析法が浸透解析法として十分に用いられることを明らかにした。更に, コアをもつフィルダムのポテンシャル分布, 浸透流量, 浸透流による有効応力を求め, 興味ある結果を得た。これらの計算を通じて, この解析法は, 有限要素の概念の特徴からして, 従来解析的に解くことのできなかった複雑な形状をもつ解析領域や, 任意の境界条件をもつ場合の浸透解析にも, 広く有利に適用されることがわかった。
社団法人地盤工学会の論文
1979-03-15