水田土壌群の物理・工学的特性に関する研究(III) : 保水性と風乾による不可逆性

概要

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従来, 湿田は乾田に比して保水性が高いといわれているが, 排水の悪い水利条件によるのか, 土粒子自身の保水性によるのか明確でない。そこで各種水田土壌群の保水曲線よりその特徴を明らかにした。供試土は泥炭, 強グライ、灰色, 黄褐色, 黒色土壌で6種類を用いている。生土と風乾土について遠心法と蒸気圧法によって保水曲線を求めた。土壌群別の保水性の特徴は湿田の強グライ土壌, グライ土壌の保水性が著しく高く, 乾田ほど低下する。特に黄褐色土壌では極めて低い。湿田土壌は土粒子界面に吸湿水, 膨潤水などを多量に保持し更に低吸引圧に相当する毛管水も多く含有する。風乾による保水性の変化は, 不可逆的に低下することが大きい特徴である。一般に湿田土壌ほど低下の傾向が大きい。これら土壌の保水性と風乾による不可逆的変化について粘土鉱物的な面から検討を行っている。それによると風乾は土粒子界面の吸着力場の性質を変化させながら土粒子間の結合を強め微細孔隙を縮小せしめ再水和の際, 皮膜水あるいは毛管水がもと通り吸水されなくなるものと推察している。
1979-03-15