ミカン園のミミズに対する除草剤加用展着剤の作用について
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概要
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ミカン園の雑草対策として除草剤を散布した場合,園内に生息しているミミズが死滅する現象がしばしば発生し,各地で問題になっているので,その原因を究明するとともに改善策について検討した。1)数種の除草剤をミミズ(セグ回ミミズ)に直接散布した場合,パラコートでは害作用は全く認められ粗かったが,DCPA・NAC剤は散布後短時間でミミズを死亡させ,グリホサード,ブロマシルとターバシル・DCMU剤も同様な作用がみられた。土壌中のミミズに対して地表面から除草剤を散布すると,DCPA・NAC剤は約半数のミミズを死亡させたが,他の除草剤ではミミズに対する害作用は全く認められなかった。2)除草剤を散布する時に希釈水に加用する展着剤をミミズに直接散布すると,SWK,ASP-30,Yでは殺ミミズ作用は顕著に現われ,散布後短時問のうちにミミズは死亡した。土壌中のミミズに地表面からこれらの展着剤を散布した場合には,殺ミミズ作用は認められなかったが,ミミズが地表面に這い出す現象がみられ,その程度は展着剤の主成分の濃度に比例することが判明した。地表面に這い出したミミズは約半目ぐらいで地中に潜り,正常な活動に戻るのが認められた。3)以上のような諸結果から,除草剤の散布園とその周辺で大量のミミズが繁死するといった現象は,除草剤に加用する展着剤の刺激を受けたミミズが地表面に這い出し,逃避の過程で目陰の少ない排水路などに集積して,陽光下で表皮の過乾燥と脱水症状を起こして死亡することに原因があると推測される。なお,展着剤のミミズに与える刺激は雨天時で小さく,晴天時に大きく,とくに土壌が湿潤状態にある場合に顕著であった。4)AT-BIはミミズに対する害作用が全くみられなかった。この展着剤を除草剤に加用した場合の殺草効果は他の展着剤と同等であったので,今後は除草剤にはこのような特性をもつ展着剤の加用が望ましいと考える。謝辞:本報告をとりまとめるに当たり,貴重な御助言をいただいた当農試三木分場長尾崎幸三郎氏および供試薬剤を提供いただいた丸和バイオケミカル(株),花王石鹸(株)に対し深く感謝いたします。
- 日本雑草学会の論文
- 1982-05-26
著者
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