HPLC-ECDを用いたニトロチロシン定量法の確立とその応用

概要

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酸化傷害の有用な指標の一つと考えられている3-ニトロチロシンは,チロシン残基がパーオキシナイトライト(ONOO^-)によりニトロ化されて生じる.この3-ニトロチロシンを測定するために,我々は,すでに報告のあるHPLC-電気化学検出(ECD)法を改良して用いた.すなわち,還元電極に,時間の経過とともにレスポンスが変化する水銀-金アマルガムの代わりにスルータイプのポーラスカーボン電極を用いた.まず,逆相HPLCにより分離した3-ニトロチロシンを-800mVで電気化学的に還元し,さらに+250mVの酸化電圧によって検出・定量した.その結果クロマトグラムはより鮮明となり,測定感度は10fmol以上となった.また,マウスにLipopolysaccharide(LPS)を投与し,血漿中の3-ニトロチロシン濃度をこの方法を用いて調べた.その結果,LPS投与量に依存して,血漿中3-ニトロチロシンの量は増加することが明らかとなった.このHPLC-ECDを用いた方法は,生体内3-ニトロチロシン定量法として特異性,感度に優れ,臨床応用の可能性が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2002-05-25