優良な沼水牛群における新鮮胚および凍結胚の移植(臨床繁殖学)

概要

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今回の試験は沼水牛の新鮮胚および凍結胚を発情同期化処置を施した受胚牛へ移植する技術の開発を目的に行われた. シュリン繁殖センターで繋養されている優良群に属するタイ沼水牛から集めた14個の新鮮胚および28個の凍結胚を非手術的に31頭の発情同期化処置を施した受胚牛に移植した. 新鮮胚は1個ずつ14頭の受胚牛に移植した. 28個の凍結胚は17頭の受胚牛に移植したが, 1個移植は7頭, 2個移植は9頭, 3個移植は1頭であった. 妊娠診断は移植後1か月にリアルタイムB-モードの超音波画像診断によって行い, その1か月および2か月後は直腸検査によって確認した. 妊娠牛は分娩まで監視下に置いた. 新鮮胚移植では移植後30日で5/14頭(35.7%)が受胎し, 4/14頭(28.5%)が移植後第3か月まで妊娠を継続し, 2/14頭(14.3%)が分娩した. 凍結胚では, 3個移植の1頭のみが受胎して, 第3か月までは妊娠を維持したが, 胎子は満期まで生存しなかった. 凍結胚移植の妊娠率は, 5.9%(1/17頭)であった. 今回の試験によって, 遺伝的改良の目的で優良沼水牛群で胚移植が可能であることを示した. しかし凍結胚の利用に当たっては更に検討が必要であることを認めた.
2001-08-25