高濃度K^+刺激したウサギの腎動脈のアセチルコリン弛緩の機序
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概要
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高濃度K^+で収縮させたウサギ腎動脈のアセチルコリン(ACh)弛緩の機序を明らかにすることを目的として, フラ-2を取り込ませた動脈標本における収縮と細胞内Ca^2+([Ca^2+]_i)の同時測定を行った.血管皮肉が付着した動脈標本では, 100mM K^+は収縮と[Ca^2+]_iの増加を引き起こした.K^+収縮の途中でACh(10μM)を投与すると, [Ca^2+]_iはさらに増加したが, 収縮は弛緩に転じた.NG-nitro-L-arginine(L-NAME, 0.1mM)を添加しておくと, AChの[Ca^2+]_i増加作用は変わらなかったが, 弛緩は起らなくなった.血管内皮を除去した標本でも, 高濃度K+は収縮と[Ca^2+]_iの増加を引き起こした.しかし, AChは無効であったので, AChによる[Ca^2+]_iの増加は内皮細胞に山来するものと考えられる.4-DAMP(10nM)とatropine(0.1μM)はAChによる[Ca^2+]_iの増加と弛緩作用を抑制した.しかし, pirenzepine(0.1μM), AF-DX 116(1μM)およびtropicamide(1μM)は無効であった.AChの作用は, また, 3μM gadolinium, 10μM lanthanumあるいは10μM SKF 96365によっても抑制された.これらの成績から, 100mM K^+で収縮させたウサギ腎動脈のAChによる弛緩の機序は血管内皮からのNOの遊離によると考えられる.AChは内皮細胞のムスカリンM3受容体を刺激して, 非選択性陽イオンチャネルを開き, [Ca^2+]_iを増加させ, これがNO合成酵素を活性化させるのであろう.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2001-01-25
著者
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