セファロリジンによる培養腎上皮細胞(LLC-PK_1)の細胞毒性における酵素ラジカルおよび脂質過酸化の役割
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概要
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セファロスポリン系抗生物質の腎毒性機序を明らかにするために, 腎毒性を有するセファロスポリン系抗生物質のセファロリジン(CER)が豚近位尿細管上皮細胞株のLLC-PK_1細胞に及ぼす細胞毒性的影響について検討した.CERは細胞内の過酸化水素含量の増加, カタラーゼ活性の減少を惹起し, その後に過酸化脂質含量の増加, グルタチオンペルオキシダーゼ活性および非蛋白性SH含量の減少を惹起した.LLC-PK_1細胞から調製したミクロソーム画分およびラット腎皮質から精製したNADPH-チトクロムP-450還元酵素標本によるNADPHに依存した過酸化水素とスーパーオキシドアニオン産生はパラコートによって促進された.これら分子の産生はNADPH-チトクロムP-450還元酵素阻害剤のp-chloromercuribenzoateによって抑制された.一方, CERはこの過酸化水素とスーパーオキシドアニオン産生には顕著に影響しなかった.これらの結果から, CERによるLLC-PK_1細胞毒性は細胞内の過酸化水素および過酸化脂質含量の増加によるもので, ミクロソームでの酸素ラジカル産生によるものではないこと, また, この細胞毒性発現機序はミクロソームで酸素ラジカル産生を誘導するパラコートとはかなり異なることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2000-09-25
著者
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松尾 三郎
大阪府立大学生命環境科学研究科・獣医環境科学分野
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松下 直子
明治製菓・薬品総合研
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松下 直子
明治製菓(株)薬品総合研究所
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清宮 健一
大阪府立大学農学部獣医学科毒性学講座
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暮部 勝
大阪府立大学農学部獣医学科毒性学講座
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松尾 三郎
大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科獣医学専攻生体環境制御学講座 毒性学研究室
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