伝染性膵臓壊死症ウイルスによるニジマスの免疫抑制
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概要
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伝染性膵臓壊死症ウイルス (IPNV) のニジマスリンパ球への感染性から, ウイルス感染により起こる免疫抑制機序の一端の解明を試みた. IPNV接種魚において, ウイルスは, 頭腎, 脾臓及び末梢血から得たナイロンウール付着性-細胞表面免疫グロブリン (Ig) 陽性リンパ球から分離され, その感染価は非付着性-表面Ig陰性リンパ球のそれよりも高かった. 非付着性リンパ球はフィトヘムアグルチニン及びコンカナバリンAに反応するが, リポポリサッカライドには反応しなかった. 付着性リンパ球のこれらマイトージェンに対する反応性は低かった. ニジマスへのウイルス接種後, 非分画頭腎リンパ球のマイトージェン反応性及び非特異細胞傷害活性は顕著に低下した. これらの結果から, ウイルス感染によって起こる免疫抑制が, ウイルス持続感染の成立に関与していると推測される。
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1990-10-15
著者
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児玉 洋
北海道大学獣医学部家畜伝染病学講座
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伊澤 久夫
北海道大学獣医学部家畜伝染病学講座
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楯 英毅
北海道大学獣医学部家畜伝染病学講座
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児玉 洋
Laboratory Of Veterinary Immunology Department Of Veterinary Science College Of Agriculture Universi
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