ヤギ精巣の微細構造 : セルトリ細胞と精子細胞間の tubulobulbar complex (TBC)
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概要
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ヤギ精巣を灌流固定し, TBCの形成と運命について形態学的観察を行った. ヤギのTBCは精子形成の最終段階で精子細胞の背腹両面に発生し, 頭帽部分のみならず後部核鞘部分にも出現した. 精子細胞の完熟期に, セルトリ細胞の表層膜が精子細胞膜を伴って微小貪喰作用(micropinocytosis)状の被覆小胞(bristle coated vesicle)を形成することからTBC形成が始まる(精子細胞側からは外分泌の被覆小胞の形となる). この小胞は太さ約10nmの1〜3μmにわたる細長い管状構造を呈してセルトリ細胞内へ伸びる. 管状構造は両膜が数nmの接触を保ち, セルトリ細胞側は微小線維によって補強されている. 最も発達した時期には管の末端や中間が直経0.5μm大の円球状膨化をきたし, 精子細胞膜が膨れる. 膨化は二連球状となったり中間で膨化する場合もあるが, 何れもセルトリ細胞の滑面小胞体によって密に囲まれている. 最終的には千切れてセルトリ細胞に貪喰, 吸収される. これらの構造物は文献でdeep pocket (ウシ), anchoring device (ネズミ類), tubular device (ブタ)と呼ばれたもので, 他の哺乳類同様, ヤギにも存在することを証明した. その機能としてはanchoring deviceのみならず, 精子細胞の核濃縮に伴う余剰膜や精子細胞内の余剰成分の処理にも関与して, 重要な意義を持つことが示唆された.
- 1990-08-15
著者
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