日本における Hammondia hammondiの分離
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ネコにヤギの筋肉を食べさせたところ, 43日後からトキソプラズマ様オーシスト (G-8株)を排出した。オーシストは類円ないしは卵円形で, 大きさは12.7×11.5μm (胞子未形成)および13.0×11.4μm (胞子形成後)であった。胞子形成オーシスト10^5個をマウスに経口投与したところ, タキゾイトが肺臓, 脾臓, 腎臓, 小腸および腸間膜リンパ節に1日目から15日目まで観察され, シストが骨格筋に9日目から認められ, その後, 心筋, 舌, 食道, 横隔膜および脳にも認められた。摂食後181日のシストの大きさは筋肉内で25〜224×20〜80μmで, 脳では35×35μmであった。一部の感染マウス血清に抗トキソプラズマ抗体が認められたが, 抗体価は低かった。シストは他のマウスへの感染性を示さなかったが, シストを食べたネコは7〜8日後からオーシストを排出した。ネコにG-8株のオーシストを経口投与してもオーシストを排出せず, またそのネコの筋肉を食べたネコもオーシストを排出しなかった。G-8株は生活環が obligatorily heteroxenousであることと, 筋肉内のシストの形態から Hammondia hammondi (Frenkel and Dubey 1975)と同定され, わが国にも本原虫が存在することが明らかとなった。
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1986-10-15
著者
関連論文
- 牛初代脳培養系における牛インターフェロンγと腫瘍壊死因子のネオスポラ原虫増殖抑制効果(短報)
- 小型ピロプラズマ (Theileria sergenti) の実験感染摘脾牛における臨床血液学的変化
- と殺牛から検出された住肉胞子虫 (Sarcocystis sp.)
- 日本の廃用豚でみられたSarcocystis suihominis
- Sarcocystis cruziシスト抽出物の毒性と性状
- 小型ピロプラズマ感染牛におけるシゾントの検出
- 血餅を用いたTheileria sergentiのピロプラズムの簡易分離法(短報)
- 酵素抗体法を用いたAnaplasma centrale感染牛の抗体検出 (短報)
- 日本における Hammondia hammondiの分離
- 13. コクシジウム類の凍結保存について(昭和61年度第32回凍結及び乾燥研究会研究報告)
- Theileria sergenti溶解抗原の近文系マウスにおける羊赤血球抗体産生増強作用
- 猫由来 Isospora bigemina大型種と Besnoitia wallaceiの比較試験
- 日本の牛タイレリア病に対するテトロカルシンAの効果
- ナフトキノーン製剤及びイミドカルブの抗タイレリア効果
- 抗ピロプラズマ剤開発のためのBabesia rodhaini および Plasmodium berghei 感染マウスによる二重スクリーニング
- ヤギからのトキソプラズマの分離
- 牛の実験的 Sarcocystis 症の病理
- 蒸気によるトキソプラズマオ-シストの殺滅試験
- 牛Sarcocystis症の一実験感染例
- 犬の腸間膜リンパ筋に見られたSarcocystis cruziのスポロシスト〔英文〕
- 日本各地より分離したEimeria tenella株間でのDNA多型(短報)
- 鶏寄生虫病の研究 (鶏病研究の歩みと今後の研究方向)
- 死産子豚におけるToxoplasma gondii抗原の酵素抗体法による検出 (短報)
- ヤギからのトキソプラズマの分離