イヌアポクリン汗管の電子顕微鏡的観察
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概要
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イヌの皮膚アポクリン汗腺の汗管を光学顕微鏡を用いて観察した. 汗管は真皮内に存在する真皮内汗管と毛包内を走行する毛包内汗管に分けられた. 真皮内汗管は1層の内周細胞とそれを取り囲む1〜2層の外周細胞から構成され, 周辺には筋上皮細胞はみられなかった. 真皮内汗管はヒトのそれと比較して短かく, ミトコンドリアの集積もみられず,水分, イオン等の再吸収を暗示するような形態も認められなかった. 毛包内汗管は毛根鞘細胞に取り囲まれていた. 毛包内汗管の下部では外周細胞にトノフィブリルの集積はみられたが, 角化の徴候は認められなかった. 毛包内汗管中間部では外周細胞にケラトヒアリン滴, membrane-coating granuleが出現すると共に外周細胞の角化が認められた. 毛包内汗管上部では外周細胞の角化に続いて, 内周細胞の角化が観察された. 内周細胞の角化にはmembrane-coating granuleの出現がなく, ケラトヒアリン滴を有し細胞膜の肥厚が認められた. 角化した内周細胞および外周細胞は毛包腔内に脱落するものと考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1983-12-05