犬アポクリン汗腺における分泌機構の電子顕微鏡的観察
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概要
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正常と思われる成犬のアポクリン汗腺分泌細胞について電子顕微鏡学的ならびに細胞化学的検索を行ない, その分泌機構および顆粒と分泌小胞につき以下のような知見を得た. 分泌機構についてはexocytosis, micro-apocrine, およびmacro-apocrineの三つの様式が認められた. (1) Exocytosis-非分泌期細胞における主な分泌形式であるが, 分泌期細胞にはほとんどみられなかった. (2) Micro-apocrine-分泌期細胞における主な分泌形式であるが, 非分泌期細胞にはほとんどみられなかった. (3) Macro-apocrine-分泌期細胞にわずかに観察された. また電子密度の高い顆粒(いわゆるdense granule)は分泌期細胞, 非分泌期細胞ともに観察され, acid-phosphatase反応が陽性であった. 本顆粒はリゾゾームと考えられた. しかし, ヒトでみられるような前分泌顆粒は観察されなかった. 分泌小胞はGolgi装置から発生し, その後管腔側細胞膜に接近し, 上記方法にいずれかにより分泌されるものと考えられる. 分泌小胞とdense granuleの直接的な関連性はないものと考えられる. 謝辞 : 本研究にあたり終始御指導戴いた神戸大学医学部皮膚科故神畠茂教授並びに御校閲を賜わった東京大学農学部家畜内科学教室友田勇教授に深謝致します.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1981-10-25