シグナルペプチドのアミノ酸コードの変換による単一成分ネコインターフェロンの生産および生産物の性質
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概要
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ネコインターフェロン(FeIFN)をコードするcDNAを組込んだ遺伝子組換えカイコバキュロウイルスBmFeIFN1を作製し, カイコ体液中にFeIFNを生産することを前報で報告したが, 逆相HPCLにより2成分のFeIFNが検出された. 両者のアミノ末端配列は異なり, シグナルペプチドの2種類のプロセッシングが示唆された. 部位特異的変異の手法を用い, 塩基配列から推定されるシグナルペプチドの1箇所のアミノ酸を変換することにより, 多くのヒトインターフェロン-αに共通なアミノ末端配列を有する1成分のFeIFNのみを生産するようにし, このFeIFNをrFeIFNと名付けた. カルボキシル末端アミノ酸は, 塩基配列の推定より1残基上流のGluであった. パス染色陽性, アミノ酸組成分析によってN-アセチルガラクトサミンが検出されずN-アセチルグルコサミンが検出されたこと, またアミノ酸配列分析によってAsn-Thr-Thr配列中のAsnが検出されなかったことから, rFeIFNにはN型糖鎖のみの付加が示唆された. pH1.5, 4℃で少なくとも50日間は失活は認められなかった. ネコカリシウイルス, ネコヘルペスウイルスに対してin vitroで抗ウイルス活性を有した. 等電点は6.5であった. ヒトインターフェロンの構造および生合成との比較から, rFeIFNはω型インターフェロンに分類されると考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1993-04-15
著者
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桜井 徹
Basic Research Laboratories Toray Industries Inc.
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矢内 顕
Basic Research Laboratories ,Toray Industries, Inc.
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植田 吉純
東レ株式会社基礎研究所
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桜井 徹
東レ株式会社基礎研究所
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矢内 顯
東レ株式会社基礎研究所
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植田 吉純
東レ株式会社
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矢内 顕
Basic Research Laboratories Toray Industries Inc.
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矢内 顯
東レ株式会社
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