正常ネコおよび慢性腎不全ネコにおける内因性クレアチニン, 尿素, NaおよびKの腎クリアランス

概要

論文の詳細を見る
正常ネコ6頭と慢性腎不全(腎性尿崩症)ネコ12頭について腎クリアランス試験を実施した. 慢性腎不全ネコでの血清におけるクレアチニン(Cr), 尿素, Na, Kの濃度の平均値は5.09 mg/100ml, 136.7 mgN/100ml, 143.9 mEq/l, 3.71 mEq/l, また, 尿比重は1.009であった. Cr, 尿素, Na, Kのクリアランス値(ml/分/kg体重)は正常猫では2.639±0.217, 1.034±0.110, 0.024±0.007, 0.266±0.028であった. 慢性腎不全ネコは正常ネコに比較すると, Crと尿素のクリアランス値(0.789±0.407, 0.358±0.211)の有意な低下と, NaとK(0.095±0.084, 0.872±0.204)の有意な上昇がみられた. Crと尿素の糸球体濾過量は腎不全ネコが高く, 4物質の尿中排泄量は慢性腎不全ネコが高かった. 尿素の尿細管での再吸収率(%)は正常ネコと慢性腎不全ネコの間には有意差は認められなかったが, NaとKの再吸収率は慢性腎不全ネコが有意に低かった.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-07-25