北海道の泥炭地における河川工事実施例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
北海道では石狩川をはじめとする多くの河川で改修する場合, 泥炭地に遭遇する機会がきわめて多い。この泥炭土は含水比, 間ゲキ比, 圧縮性が非常に大きく, 透水性や強度に顕著な異方性が認められる, などの特異な工学的性質を持つため種々の困難な問題に直面することが少なくない。泥炭地における河川工事実施に際して土質工学的に問題となる点は, (1)泥炭を盛土材料として使用する場合, 堤防浸透水に対する堤体の安定, 雨水や流水に対するノリ面の安定, 堤体の圧縮変形に対する計画断面の維持, (2)堤防のスベリ破壊と沈下に対する安定, (3)水路掘削に伴う切土ノリ面の安定, および周辺地盤の沈下, (4)樋門や樋管の設計法, などである。これらについて, まず北海道における泥炭地の分布と泥炭の工学的性質を軟弱粘土のそれと比較して説明し, 次に実際の工事でどのように対処されているかを, 堤防工事, 水路掘削工事, 樋門樋管工事の場合について代表的な実施例をあげて説明した。
- 社団法人地盤工学会の論文
- 1977-06-15