酢酸トリアムシノロンにより誘発したラット口蓋裂の病理組織学的変化(病理学)
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概要
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酢酸トリアムシノロン(TAC)は,マウス胎児において2次口蓋突起の中心縁上皮(MEE)細胞に作用することなく,間葉細胞の増殖抑制による口蓋突起の発育不全に起因した口蓋裂を誘発する.本研究ではラットにおけるTACのMEE細胞と間葉細胞に対する影響と口蓋裂発現との関連性について検討した.口蓋裂の成立感受期である妊娠12,13及び14日にTAC 0.5 mg/kg を妊娠ラットに筋肉内投与し,妊娠14.5,15,16及び20日に胎児を摘出し,口蓋突起について病理組織学的検索を実施した.TACにより妊娠14.5日では間葉細胞の増殖抑制,妊娠15日では間葉細胞及びMEE細胞の減少並びにMEE細胞での上皮細胞増殖因子(EGF)レセプター発現,妊娠16日ではMEE細胞のサイトケラチン及びEGFレセプター発現を伴う重層扁平化が認められた.これよりTACはラット胎児において口蓋突起の間葉細胞の増殖抑制及びMEE細胞の重層扁平上皮細胞への分化異常を誘発することが明らかとなった.しかし,MEE細胞は重層扁平化を示しながらも口蓋突起は部分的に癒合していたことから,TACによる口蓋裂はMEE細胞の分化異常でなく,間葉細胞の増殖抑制に起因するものと推察した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2004-04-25
著者
-
小川 いづみ
日産化学工業
-
古川 賢
日産化学工業(株)生物科学研究所
-
臼田 浩二
日産化学工業(株)生物科学研究所
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阿部 正義
日産化学工業(株)生物科学研究所
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小川 いずみ
日産化学工業(株)生物科学研究所
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古川 修治
東京農工大学農学部獣医学科
-
小川 いづみ
日産化学工業(株)生物科学研究所
-
Usuda Koji
Shiraoka Research Station Of Biological Science Nissan Chemical Industries Ltd.
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