牛神経組織における牛ヘルペスウイルス4型B11-41株の潜伏・持続感染(ウイルス学)
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概要
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3頭の牛に牛の脊髄から分離した牛ヘルペスウイルス4型(BoHV-4)B11-41株を接種し,経時的に臨床症状を観察した.2頭の実験牛で白血球数の増加が観察されたが,それ以外に臨床上の異常は認められず,体温の上昇も観察できなかった.しかし,ELISAによりBoHV-4に対する抗体価上昇の変動を調べたところ,接種後1ヶ月で高抗体価を示し,1年以上持続した.ウイルスは感染初期にのみ末梢血血清や末梢白血球から分離されたが,ウイルス遺伝子はPCRにより末梢血白血球から頻繁に検出された.解剖時に採材した各種組織からウイルス分離および遺伝子検出を試みたところ,ウイルス遺伝子はリンパ節だけでなく,脊髄,延髄,三叉神経節などの神経組織からも検出された.従って,BoHV-4は牛に潜伏・持続感染し,リンパ系組織だけでなく,中枢神経組織も潜伏部位であることが示唆された.国内の牛についてBoHV-4の感染状況をELISAにより調べた結果,陽性率は8.9%で,陽性牛は特定の農場に局在する傾向が認められた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2003-01-25
著者
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村上 賢二
動物衛生研究所ウイルス病研究チーム
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泉對 博
(独)動物衛生研究所
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泉對 博
動物衛生研究所
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泉對 博
動物衛生研究所 感染病研究部
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浅野 明宏
(独)動物衛生研究所
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猪島 康雄
(独)動物衛生研究所
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村上 賢二
(独)動物衛生研究所
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池谷 優子
(独)動物衛生研究所
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山本 靖典
(独)動物衛生研究所
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泉對 博
(独)農業技術研究機構動物衛生研究所
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池谷 優子
(独)動物衛生研究所:愛媛県八幡浜家畜保健衛生所
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山本 靖典
(独)動物衛生研究所:山口県中部家畜保健衛生所
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猪島 康雄
動物衛生研究所
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村上 賢二
農林水産省家畜衛生試験場
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村上 賢二
動物衛生研究所
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Sentsui H
National Inst. Animal Health Ibaraki
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