中世禅宗様仏堂の装飾細部 1 (木鼻 1)
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概要
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1.禅宗様頭貫鼻は中国の12世紀に現われ, 12世紀末から元にかけて一般にみられるものの系統をひき頭貫鼻が厚くない点で華北明初期の代表建築より古めかしい。ただし頭貫鼻の渦巻は元までの中国では特殊らしい。2.しかし室町初期を降らぬ時期に限り絵様のない例があり, 中国の一般情況を伝えた古い1系統であろう。3.繰形の性質には2つの異なる型がある。第1は繰形凸部がほぼ直線上に並ぶ型で古い系統らしい。第2は渦巻部分の繰形が出張る型で現存中世禅宗様遺構の大部分をしめる南北朝以後の主流である。4.鎌倉時代の渦巻は現存遺構に関する限り, 渦が小さく南北朝以後と異なる。また前項に記した第1の型と第2の型との交替にともない渦巻は大きくなり, 応永ころ大きな同心円状渦巻が現われる。5.15世紀以後の変化には地方差があるが, 繰形先端部の誇張的な傾向, 木鼻がのびる傾向, 繰形と渦巻の関係が流れる傾向, 渦巻が途中で止る傾向が現われる。6.頭貫鼻の絵様繰形には地域性がある。西日本は一般に木鼻が短く, 上巻が主流であり, 近畿にかなりある下巻型は関東と系統を異にし, 鎌倉時代の古い系統をひくらしい。関東・甲信は強い統一性があり, 両地域に挟まれた中部南西部は関東型と関西型が交錯する地域である。東北地方は会津・越後に関する限り, 関東の延長にのらず, 上巻が主流であり, 一般に地方色が濃い。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1968-08-30
著者
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