連続体振動系としての高層建築の震度・層剪断力等の分布形 (その 1)
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概要
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高層建築耐震設計用の外力は各階に加える水平力であるが, この力の仮定は, 建物に作用する全水平力(ベースシア)の仮定とこの全水平力を各階に割振る分布形の仮定との二つの問題に分けられる。いずれも重要な課題であるけれどもここでは後者だけを取扱う。実際の設計に直接用いる応力は各階の層剪断力であるが, 現行の方法は, まず震度分布を仮定し, 各階の重量にその位置の震度を乗じて水平力を得, これを上から累加して求めるのが普通であり, 層剪断力そのものを仮定する場合もある(U. B. C.旧)。そしてこの震度または層剪断力の値は建物基部からの高さまたは層数の函数としている。例えば日本基準は[numerical formula] U. B. C.新は[numerical formula] U. B. C.旧は[numerical formula]となっている。(いずれも記号は本文のものに書き直したもの)このような方法によると, 各階重量と階高が一定の法則に従った値でない限り水平力分布形は高さまたは階数の函数として表現することはできない。したがって震度・水平力・層剪断力係数および層剪断力の各分布形の間の一般的な相互関係は得られないことになる。在来は, 各階重量と階高を一定としてこの関係を見ていた。本論は, 建物の振動モデルを多質点系の代りに重量等分布で剛性不等分布の連続体剪断振動系に置換することにより, この相互関係を求めようとするのが第1の目的である。ここ数年の間に高層建築耐震設計の動的解析が数多く行われたが, 建物ごとにその単位重量・面積・高さ・階数・剛性など多様な要素があり, 質点系に置換しても高さ・質量およびばねの3要素が残り, 貴重な解析結果を総合的に比較検討するのが甚だ困難である。本論の第2の目的は, この問題も同じ手段によって解決しようとすることである。すなわち多質点系を動的性質の等価な連続体系に置換することにより条件を単純化し, 動的応答を集計比較し易くして適正な設計応力の分布形を統計的に見出そうとするものである。高層建築の地震による剪断力の分布形に関してすでに梅村魁教授等の有益な研究が発表されている。本論はその後半が梅村論文と目的を同じにしているが, 集計方法と対象を異にしているのであえて発表することにした。
- 1966-05-30
著者
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