根入れ基礎をもつ構造物の振動特性について (2)

概要

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前報で導入し本論文で数値的に検討した応力度などに対する平均操作は, 耐震工学上, 重要と考えられるパラメータ領域(0<Hω/V_s<π/2)で妥当な結果を与えているといえる。地下壁の水平加振に対する回転バネ剛性K_<RS>と回転加振に対する水平バネ剛性K_<RS>とは, 計算した全振動数領域にわたって一致し, Maxwell・Betti・Lambの動的相反定理が成立している。このことは, 逆に, 数値解析例の精度を保証している。横波の1次元上昇・下降波の共振現象に関わる振動数であるa_0=π/2において, 動的バネ剛性は零ないしは零に近い値をとる。また, 隣接棟を考慮した場合は, 隣棟間隔を小さくしてゆくと, 零点を与える振動数は漸次大きくなる。支持基盤の水平振動により地下壁に入力する波動土圧がa_0=π/2で発散していることと上でのべた動的バネ剛性が零ないしは零に近いことを併せ考えれば, 表層地盤の共振振動数をカバーする地震波が入力する場合, 根入れ基礎を設けることが必らずしも有利になるとは限らないことを示している。因みに, 縦波の共振現象に関わる振動数であるa_0=√<3>π/2では, 動的バネ剛性も波動土圧も無限大の値をとる。構造物のアスペクト比(h/b)が2程度の場合, その回転角応答を最小にする根入れ深さ, 所謂, 最適根入れ深さの存在が示唆されるなどの結果を示した。次報以降において, 隣接棟の影響を考慮した動的バネ剛性ならびに支持基盤の水平振動により地下壁に入力する波動土圧を解析的に評価し, 根入れ基礎をもつ複数の建築構造物群の連成振動問題を扱う。そのなかで, 根入れ深さに対する隣棟間隔の比κが5以上になれば, 0<a_0<π/2の領域で, 支持基盤の振動による波動土圧も動的バネ剛性の値も, 本論文で示したκ=∞の場合に, ほぼ一致し, 構造物群の連成を考慮すべきか否かを峻別するκの値が存在することを示す。また, 剛体と見做しうる同一規模の棟の2構造物の連成を考慮した1次共振振動数は, 1棟の構造物のみが存在する場合の共振振動数に比べ低下し, 逆に, 異なる規模の場合は, 夫々の構造物の1次共振振動数は, いづれか一方のみが存在する場合の共振振動数より, 夫々, 高くなるなどの結果を与える。尚, 本研究費の一部は, 昭和54年度文部省科学研究費補助金によるものである。
1981-07-30

根入れ基礎をもつ構造物の振動特性について (2)

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