こどものあそび環境の構造の研究 : あそび場の構造の研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
これまでの結果をまとめると, あそびが発生しやすい条件なり空間構成があることが明らかとなった。1.ある場所があそび場となる一般傾向は「妨害されない場所」であり, 「その場所が常に誰かに見られる位置にある」ものが多い。2.あそび場には広さが40〜70m^2のものと, 6〜8倍(約300m^2)の広さのものとの2種類ある。3.あそび場には「エッジ型」を基本として, その変形である「モール型」「ポケット型」「シンボル型」の4つのタイプがある。4.40〜70m^2のあそび場には「モール型」「ポケット型」「シンボル型」が多く, 300m^2前後の広さのあそび場には「エッジ型」が多い。5.「モール型」「ポケット型」「シンボル型」のあそび場でのあそび人数は3人前後が多く, 「エッジ型」では6〜7人であそばれることが多い。6.「エッジ型」の変形である「モール型」「ポケット型」「シンボル型」のあそび場は, こども達にとって非常に身近にあるあそび場であり, あそびの起爆剤的なあそび場となっている。7.「モール型」の成立条件は, 車がほとんど通らない道路であることが第1条件である。「T字路」や, 「十字路」は人々の接合点, 集中点となり, 第1の条件が満たされれば, あそび場が発生しやすい場所である。又, 道路わきに, 入れなくても"空地"や"車庫"等のポケット的な空間に接している所が, あそび場となりやすい。8.「ポケット型」の成立条件は, 交通量が少ない道路ぎわの, 誰からも阻害されない, アルコーブ状にできた小広場に発生しやすい。9.「シンボル型」の成立条件は, あそび場となる潜在力をもった場所の素材から, 特出した要素をこども達が発見, または引き出すことが鍵となる。したがって, 遊具に代表されるように, シンボルを創ることで, その場をあそび場に転化することができる。10.「エッジ型」の成立条件は, あそび場を囲む縁(エッジ)の一つが必ず道路であることが第1条件である。また, 残りの三方のエッジは, ハードなエッジとソフトなエッジの2種類から成り, こども達が出入りできるすきまが必要である。11.「エッジ型」のあそび場では, "野球", "ドッチボール", "サッカー"等のスポーツ的集団あそびが多い。12.「モール型」のあそびでは, "自転車乗り"等の乗り物あそびと, "キャッチボール"等のボールあそびを始めとした, 「エッジ型」のあそび場でのあそびを縮少したあそびが多い。13.「ポケット型」, 「シンボル型」のあそび場では, その構成素材があそびの中心となるため, 構成素材が異なれば, あそびも異なり, 多種多様なあそびがみられる。14.一つの場所で数種類のあそびが行なわれるあそび場と, その場所だけの特定のあそびが行なわれるあそび場とがある。前者には「エッジ型」「モール型」後者には「シンボル型」「ポケット型」に多い。15.あそび場の誘致圏はほぼ50〜60mであり, 小学生8〜10人に1ケ所の割合で分散している。16.児童公園のような「エッジ型」のあそび面積の広いあそび場の誘致圏はほぼ120〜130mである。17.「モール型」「ポケット型」「シンボル型」のあそび場は, こども達の行動をあそびへと転化させる都市内に生じたあそび空間である。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1981-05-30
著者
関連論文
- 国際教養大学図書館棟(東北)
- 篠原一男先生ご逝去(会員フォーラム)
- 支援建築会議・調査研究委員会活動報告
- コミュニティ施設の作られ方と使われ方との関連性に関する考察
- 建築計画研究の領域とその研究方法の展望 : 他領域の研究者とのクロストーク(建築計画部門・都市計画部門・農村計画部門研究協議会)(1999年度日本建築学会大会(中国))
- 『環境による教育の大切さ』が叫ばれる今、保育環境の現状を問う : ますます機械化・バーチャル化等が進む 21 世紀を迎え、子どもが育つ保育環境をどうするか
- 公共事業における設計入札問題を考える(I 巻頭座談会,設計入札反対!? 公共建築の設計者選定)
- 特別調査委員会
- 会務関係
- 伊勢原市立図書館子ども科学館
- 相模川ふれあい科学館
- 渋谷区旧玉川上水散策路
- 遊具の構造 (建築と子ども)
- 児童におけるあそび環境と体力・運動能力の関連性の研究
- 児童のあそび環境の研究 : その5 あそびの原風景を探る
- こどものあそび環境の構造の研究 : あそび場の構造の研究
- 遊具におけるこども集団の形成の研究(II) : 行動観察調査から遊具の構造の考察
- 遊具におけるこども集団の形成の研究 : 都市計画
- 遊具におけるこども集団の形成の研究(I) : 道具における行動観察調査の方法
- 環境構成=再構成への実践的アプローチ : 環境づくりへの想像力と現場実践
- 日本建築学会「能力開発支援制度」の創設について その3 : 座談会 : 「日本建築学会能力開発支援制度」に期待する
- 14044 多様な形態のスタジアムへのPCa構造の適用(建築構造をどうつくるか-設計・生産をめぐって(3),建築デザイン)
- 集合住宅の屋外空間に関する研究 : その2.住戸からの景色を通して(集合住宅の公共スペース(2),建築計画II)
- 5231 空間文節からみた公共図書館の利用形態に関する研究
- 子どもが安全な町づくり(第1部 総論,都市・建築に関わる安全・安心のフロンティア)
- 海南市わんぱく公園
- 子どものための建築・都市12ヶ条 : 子どもと家族のための建築・都市環境づくりガイドライン
- 鼎談 二十一世紀における環境建築の果たすべき役割 (特集 環境デザイン研究所)
- 地球環境・建築憲章「運用指針」について
- 「地球環境・建築憲章」の制定について
- 兵庫県立但馬ドーム(作品選集)
- 長崎市科学館
- 藤野芸術の家
- 富山県こどもみらい館(作品選集)
- 「作品選集1994-1995」ならびに「1995年日本建築学会作品選奨」選考報告
- ラ・ヴィレット公園(コンペティションの方法論)
- 町づくりとこどものあそび環境(E. 美 : 街並み・景観)(民意基盤づくり5)(積土成山 : 建築家とまちづくり)
- 原風景によるあそび空間の特性に関する研究 : 大人の記憶しているあそび空間の調査研究
- 「名のない遊び」を育てる新しい保育方法論について : 実践者から、失敗と成功の保育事例を通して学ぶ
- 会務関係
- (8)地球環境時代の都市建築の形(II 委員会活動の総括,都市建築の発展と制御)
- サステナブル建築と地球環境建築の展望(I 巻頭論文,サステナブル建築)
- (6)新斜面緑地論 : 新たな都市緑地の提案(入選(優秀作),「都市建築の発展と制御に関する論文」,21世紀の都市空間の行方)
- 追悼のことば(名誉会員 芦原義信先生ご逝去)
- 展望する建築学会の課題と戦略(会務報告(2001.6〜2003.5))
- 年頭の挨拶
- 良い建築と社会システムのために(会長インタビュー)
- 建築家の寿命とコンクリートの寿命
- 5585 住宅におけるこどもの空間に関する研究 : その家族のために設計された住宅における思い出を通して
- 5068 博覧会の会場・展示計画に関する研究 : 来場者の満足度の分析による
- 子どもを元気にする環境づくり (特集 子どもを元気にする環境)
- 子どもを元気にするための環境デザイン (特集 環境と子どもの発達)
- 広島市民球場(中国)
- 児童のあそび環境の研究 : その4日本各地のあそび環境にみる都市化現象 : 都市計画
- 児童のあそび環境の研究 : その3那覇市と横浜市におけるあそび環境の比較研究 : 都市計画
- こどもの成育環境とこども環境学の確立に向けて (特集 こども環境学(1)学問体系の確立をめざして)
- 都市講演再開発の方法 : その2 : 横浜市 根岸森林公園の再開発の検討より : 都市計画
- 都市講演再開発の方法 : その1 : 横浜市 根岸森林公園の再開発の検討より : 都市計画
- 児童のあそび環境の研究 その2 : 児童のあそび空間とあそびの内容は15年間でどのように変化したか : 都市計画
- 児童のあそび環境の研究 その1 : 児童のあそび空間とその利用圏は15年間でどのように変化したか : 都市計画
- 子どもの遊びと運動意欲を喚起する環境
- 子どものための空間 (特集 子どものための公共建築)
- 展望する建築学会
- 福井県児童科学館
- 山梨県立科学館
- 講演と対話1) 子どもの視点から保育環境を問い直す : 幼児施設における廊的空間
- 1) 子どもの視点から保育環境を問い直す : 保育空間における滞留的あそび行動について
- 都市建築の発展と制御に関する提言(I 都市建築の発展と制御に関する提言,都市建築の発展と制御)
- 緑の詩保育園(関東)
- 柏崎市文化会館アルフォーレ(北陸)