満載時の大型専用船の運航について
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概要
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以上に述べたところから, 荒天中の運航の平均的な限度を示唆するものを重ねて記入すると, Fig.10, Fig.11が得られる。<BR>荒天下の運航状態を単純な曲線で表現することは, 大体無理なことではあるが, 通常の運航はどのようなものであつたのか或はあるのか, 概略ながら理解できるように思う。Fig.10でいえば, (B) 曲線の辺り, Fig.11でいえば (4) - (3)<SUB>2</SUB>又は (6) の辺りが参考になる。<BR>これはいづれも過去の実績であり, 最近の急速な大型化以前のものであるが, 大型化しても判断の基礎は過去の経験以外にはないので, そういう意味で過去の事実は重要であろう。しかし更に, 大型船には従前に比べて何か特異事情はないか, 或いはどのように使用したいと願われているのか, 運航者と建造者との, 不断の対話が, 次の設計, 建造のために, 是非必要であろうと考える。荒天時の人為的な減速の仕方は, 機関部に主軸駆動補機等があれば, それらのあり方とも関連がある問題である。<BR>また早く気象海象の即時通報の機構が完備して, 海上の操船者にのみ重荷を負わせることなく, 非常な荒天は避けて通れるように環境を整えるのが最も肝要なのではないかと思考する。
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文