自動車製造における接合技術 (<特集>接合・接着技術)
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概要
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自動車産業は,代表的な総合アッセンブリー産業と言われるように,その構成材料や加工技術は,広範かつ多岐にわたっている.自動車を構成する部品点数は一台当り数万点にも及び,その主要なコンポーネントは,ボデー,エンジン,トランスミッション,サスペンション・排気管システムなどから成っている.自動車は,言わばこれらコンポーネントを結合することにより完成されており,結合技術は非常に重要な役割りを果たしていると言える.表1に,自動車製造に使用される主な結合法を示すが,大きく分けてボデー部品に多く見られる"分解を目的としない結合"と,足廻り部品や内装部品などに見られる"分解できる結合"に分けられる.ボデーを構成する材料は0.6∼1.6tの鋼板がほとんどで,それらは表2に示すような溶接法により組立てられており,ボデーシェルにおいては90%以上がスポット溶接によっているのがわかる.また,エンジン,足廻り部品などは,分解,修理,交換を要する部品が多いことから,主にボルト,ナット等の機械的結合が多用されており,これら結合部品の数は,小型乗用車では2∼3千点程度である. 自動車製造における結合技術は,自動車が大衆商品であると同時に,その使用条件も様々なことから,経済性,品質安定性が求められる.しかし,近年,自動車に要求されるデザイン,性能の向上,軽量化,高品質化といったニーズの高まりから,構成される材料や構造も変化してきており,これに対応できることも求められている. 本稿では,自動車製造に用いられている結合全般について紹介するとともに,新しい結合技術についてもふれてみたい.
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文
- 1988-12-20