搾乳ロボットシステムの設計評価に関する基礎研究(第2報) : 牛体構造から求めらる機械系の作業域と基本機構の検討
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概要
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繋ぎ飼い用搾乳ロボットシステムの開発に向けて、特にマニピュレータ機構の設計指針を得ることを目的として、ホルスタイン種泌乳牛111頭を供試して体尺測定調査を実施した。ロボットはストール後方より牛に接近して、牛体位置検出機構は牛体において変形量の少ない部位として坐骨端と左右の腰角を捕捉する。本機構に自動搾乳ユニットを搭載することによって、機械系の原点と牛体との水平面上での相対的位置関係をほぼ確定し、牛体の動きに追従して両者の位置関係を維持する。これを基本的な機械設計概念とする。その上で、牛体とロボット機械系双方の安全性を確保するために、ロボット作業環境内の四肢や乳房等の配置から干渉あるいは衝突の可能性の低い部分を抽出し、動作可能な空間領域をモデル的に示した。これを考慮した機械系, 特にロボットマニピュレータの関節構成と軌道生成を提案した。マニピュレータ機構は、平面的な位置決めと姿勢決めの回転自由度を各々2と1、これにティートカップ装着動作のための並進自由度1を加え、計4自由度の基本仕様で対応可能と判断された。マニピュレータの標準作業域は、牛体軸上の坐骨端からの距離380mmの点を中心とする、350×350mm区画が4乳頭の散在する領域である。この領域においては、エンドエフェクタを有する第3アームを常に牛体軸に平行な姿勢に制御することによって、後肢を回避しながら、狭降な後肢内側空間においてテイートカップのマニピュレーションが可能であると推察された。マニピュレータ機構をモデル的に単純化して、位置制御するための関節変数ベクトルを求める逆運動学問題の解を示した。X-Y平面内での運動特性を考慮して、第1、第2および第3アームリンク長をそれぞれ400mm、350mmおよび200mmと設定した。また、マニピュレータ台座の適正な位置をX、Y座標それぞれ580mm、520mmと設定した。日本家畜管理学会誌、36(3)115-127、2000 1999年4月12日受付2000年9月1日受理
- 日本家畜管理学会の論文
- 2000-12-15
著者
-
平田 晃
(独)農研機構生研センター
-
古山 隆司
生物系特定産業技術研究支援センター
-
平田 晃
生研機構畜産工学研究部
-
平田 晃
生研センター
-
市戸 万丈
農林水産省草地試験場
-
八谷 満
農林水産省北海道農業試験場
-
桑名 隆
生物系特定産業技術研究推進機構
-
古山 隆司
生研機構畜産工学研究部
-
福森 功
生研機構畜産工学研究部
-
桑名 隆
農業機械学会
-
福森 功
農業・生物系特定産業技術研究機構 生物系特定産業技術研究支援セ 農業機械化研
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