乳牛の熱発生量, 各種生理反応および乳生産に及ぼす季節の影響
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概要
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夏期高温時における乳牛の防暑管理法に資する知見を得る目的で, 自然環境下における乳牛の熱発生量, 体温等の生理機能ならびに乳量および乳成分の季節変化について検討を加えた。実験は, 乾乳牛3頭, 泌乳牛5頭(延べ10頭)を用い, 昭和48年4月から1年間行い, 期間中4,6,8,9,11,1および3月の計7回, 6日間の調査期を設けて, 養分摂取量, 熱発生量等生理機能, 乳量および乳成分等について測定を行った。その結果, 次のような知見を得た。1)TDN摂取量は, 乾乳牛では8月に約10%減少し, 泌乳牛では, 6,8月の摂取量がその後の月より有意に低かった。2)飲水量は, 乾乳牛では4から8月にかけて増加する傾向を示し, また, 泌乳牛では8月に有意に高い値を示した。3)乳量は, 5月中旬頃より減少傾向を示した。4)乳成分率の季節変化はいずれも有意ではなかったが, 乳脂率および乳蛋白質率は4月から8月まで減少傾向を示し, またSNF率では減少傾向が9月にまで及んだ。5)体温は, 乾乳牛では有意な季節変化を示さなかったが, 泌乳牛では8月に有意な上昇を示した。6)呼吸数は, 乾乳牛では4月から8月まで上昇する傾向を示したが, 泌乳牛では6月に減少し8月に有意に増加した。7)脈拍数および熱発生量は, 乾乳牛, 泌乳牛とも6月に減少し8月に増加する傾向を示し, 気候馴化に伴なう適応反応であることが推察された。8)呼吸数は, 三村らの示した乾球温度および湿球温度による示標と最も高い相関係数を示し, 熱発生量では湿球温度との相関が最も高かった。9)自然環境下においても8月では人工気候室での実験と同様に熱発生量は有意に増加し, また熱発生量あたりのFCM量は有意に減少するものといえる。
- 日本家畜管理学会の論文
- 1981-10-01