樹木に及ぼす酸性物質の長期慢性影響評価に関する研究
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概要
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酸性雨に対する47種の樹種の感受性について可視害発現状況をもとに感受性を分類するとともに, 18種類の樹種を対象に生長に及ぼす影響について検討を行い, 降雨のpHが常時4.0以下にならなければ直接的な影響はみられないことを明らかにした。これらの実験結果から, 現状で観察される程度の降雨の酸性度や頻度では直接的な影響は考え難いことを明らかにした。一方, 酸性雨とオゾンの複合影響に関する研究では, pH3.0の人工酸性雨によってスギやヒノキの生長は促進されるが, オゾン濃度が高くなるとともに地上部と根の重量比(T/R)が高くなり, 硝酸負荷とオゾンの複合影響の可能性を明らかにした。18種の樹木を対象に, オゾンと二酸化硫黄の3生長期にわたる複合暴露実験を行った結果, 可視害の発現状況を指標にした感受性と, 生長抑制の程度を指標にした感受性の分類結果とは一致しないものが多いことを明らかにした。また, 二酸化硫黄とオゾンの複合影響は, 樹種によって相加, 相乗などの影響発現の様式が異なり, 複合影響の判定に際しては両者の濃度レベルと対象植物種を考慮する必要性があること, オゾンについては現状濃度レベルでも潜在的な慢性影響が懸念されることなどを明らかにした。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2001-03-10
著者
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