感性科学の構築へ向けて
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概要
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近未来の社会においては、創造・創発支援の教育環境の基盤整備の問題はもとより、発達期の心の問題、精神神経疾患、痴呆等への適切な対処から、少子化時代における健全な成長発達の保障と高齢化社会における生き甲斐の確立に至るまで、精神・心の問題に関して早急に対処すべき具体的な問題が山積している。これらの社会問題に対して人々は自らの行動決定の根拠を個々の学術に求めても、個々に分断された今日の学術によってはこの複雑な融合問題を解くことが出来ない。これを解くためには、各学問領域が社会に現出するそれぞれの関連問題について、関係ある諸領域間と横断的研究協力体制を組み、現実的な社会問題の奥に潜む原因と結果の動的構造図式を社会に公開するように努める必要がある。このようにして社会的問題と科学技術との関連についての洞察に基づいた新たなフロンティアを切り開き、開かれた学術の枠組みを構築することが必要である。これらの問題の解決のためには、人間の心の科学的研究と、その基盤となる脳の機能連関を見極める基礎的研究が欠かせない。現代社会は、心の病根に対する治療や予防を確立するための基礎的研究を推進し、問題解決に貢献できる新しい人間を要求している。まさに「人間の精神活動と脳科学の間の溝に架橋するための融合的研究分野」で養成される人間が社会的に求められているのである。精神活動と脳科学の統合という新たな挑戦にむけで、芸術学系、心理学系、心身障害学系、基礎医学系、臨床医学系、機能工学系の6学系が培ってきた学問体系を融合させた研究は、クロスディシプリナリーな視点を持つた、真に融合的な研究を実行できる新しい型の研究を推進する。このような考えの下に、感性評価データベースの構築を多重の構造により進める必要がある。
- 日本デザイン学会の論文
- 2002-11-30
著者
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