トラフカクイカ, Culex (Lutzia) vorax の生態学的研究・分散様式と捕食行動
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概要
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(1)アカイエカの捕食者であるトラクカクイカ幼虫の下水溝での分布様式は2m位と10cm位の範囲に入る2つの集団として認められた.この大きな集団は1卵塊が分散したものと考えられ, アカイエカ個体群にトラフカクイカが混り合わないで集団として行動しており, その集団の部分でアカイエカの個体数に大きな減少がみとめられた.(2)実験室内において孵化直後, 幼虫はわりと早く分散し集中度は弱まつていくが, 2日目, 2令に達すると分散は弱まる.しかしなお, 集中的分布を保つていた.(3)アカイエカ幼虫の密度と捕食数は単分子反応曲線の関係をもち, 老命幼虫ではある程度以上の密度では捕食効果を高める可能性がないことがわかつた.しかし初令幼虫だけは実験に供した密度の範囲では捕食効率を高めることが認められた.この初令の捕食効率は2令以後のものと質的にちがうと考えられた.そしてこのことは特異的な成長曲線をもたらすと考えられた.(4)アカイエカ幼虫が存在する場では共喰いによる減少はあまり起きなかつた.これは捕食行動として定位してあまり移動しないことによりお互に接触する機会が少ないためと考えられた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1965-12-30
著者
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