細胞周期に基づく発癌の分子理論と新しい癌治療の考え方
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概要
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増殖能を持つ細胞は複製・分裂の過程において遺伝子や染色体に異常が生じると, 細胞周期を停止しその異常を修正する能力あるいは細胞死を誘導して損傷細胞を取り除く能力があり, 異常細胞が出現することを防いでいると考えられている.この機構をチェックポイントと呼ぶ.チェックポイントに異常が生じるとゲノムの不安定化が発生し, 細胞の悪性化が生じてくると考えられている.抗癌剤や放射線による治療は, 癌細胞がこのようなチェックポイントに障害があることを期せずして逆に利用したものであることが最近の解析によってわかってきた.つまり, DNAや染色体に傷を与えると, 正常の細胞では細胞周期は停止するが, 癌細胞ではチェックポイント障害があるため傷を持ったまま次のphaseに突入し, 細胞死が誘導される.しかし, 重度のゲノム変化を持つ腫瘍ではこの細胞死の機構すら破綻し, 治療に抵抗性を示す細胞が出現すると考えられる.細胞周期制御の破綻による発癌と悪性化および治療の分子論について述べる.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 2005-06-20
著者
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