保存的治療中に急激な症状増悪を呈した特発性頭蓋内圧低下症の1例
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概要
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症例は32歳の元来健康な女性で,強い起立性頭痛を主訴に来院した.神経学的にはまったく異常を認めなかった.CTで両側慢性硬膜下血腫を認め,腰椎穿刺による髄液圧は5.0cmH_20と低値を示した.Gd-MRIやRl-cisternographyの所見より,特発性頭蓋内圧低下症と考えた.厳重な安静臥床と水分補給を行っていたが,治療開始18日目ごろに臥位でも頭痛を訴えるようになり,その3日後に急激な意識障害をきたした.直ちに硬膜下血腫除去を行い,続いてcontinuous epidural saline infusionを施行したが,軽度の後遺症を遺した.特発性頭蓋内圧低下症は一般的に予後良好と考えられているが,硬膜下血腫を合併している場合は脳ヘルニアによる急性増悪をきたすことがあり,注意深い観察が必要である.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 2003-11-20
著者
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