大型工業技術研究開発制度に見るプロジェクト・フォーメーションのルーティン
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
不確実性が高く,全ての選択肢を把握することができない制約合理性の下では,意思決定主体は「ルーティン(Routine)」と呼ばれる比較的簡単なルールあるいは手順に従って意思決定を行う。またルーティンは,その意思決定主体に課された評価基準に対して適応的に変化して行く。制度(Institution)がいかに運営されたかを把握するには,形式上の分析だけではなく,このルーティンを分析することが必要となる。1966年に創設された大型工業技術研究開発制度(大プロ)は,1993年に産業科学技術研究開発制度に統合されるまでの27年間に33本のプロジェクトを立ち上げている。これらの大型の研究開発プロジェクトは不確実性が高く,その編成には一定のルーティンが形成されたものと考えられる。本稿では,この大プロのプロジェクト・フォーメーションについて,どのようなルーティンが形成され,それが適応的に変化したかについて分析を行った。その結果,大プロが実施されていた当時,実質的な評価システムが大蔵省による予算査定しか存在しなかったため,それに適応する形でのみルーティンは変化していることが明らかとなり,研究開発施策に対する評価制度の重要性が浮き彫りとなった。
- 研究・技術計画学会の論文
- 2004-02-20
著者
関連論文
- 1C1 "技術立国"を担う科学技術人材・組織・制度 : 産・官・学の課題
- 2I12 イノベーションとインスティテューションの相互作用 : 音楽産業の計量分析(技術進歩の経済分析(2),一般講演,第22回年次学術大会)
- 国際問題(平成11年度分科会報告)
- 平成11年度 分科会報告
- 各種の答申・提言等に見るわが国の科学技術人材・組織・制度の課題
- 2H04 コンテンツビジネスにおけるイノベーションの計量分析 : CDが日本の音楽産業に与えた影響(技術進歩の経済分析 (2))
- 1G10 プロダクトイノベーションに関する研究開発投資戦略のモデル分析(研究開発システムとモデル (1))
- 1C22 電子政府の推進に関わる組織・制度要因の分析(ナショナル・イノベーション・システム)
- 2C20 e-Government の発展策 : ITインフラの整備と組織・制度改革(知識と情報 (2), 第20回年次学術大会講演要旨集II)
- 2A16 イノベーション競争が支配的な産業における企業戦略のモデル分析(企業戦略とビジネスモデル, 第20回年次学術大会講演要旨集II)
- 2E02 音楽フォーマットのイノベーション : 音楽産業への影響(IT・コンテンツ, 第20回年次学術大会講演要旨集II)
- 2I17 イノベーション競争が支配的な産業における産業動態モデル分析(企業・産業の動態)
- 大型工業技術研究開発制度に見るプロジェクト・フォーメーションのルーティン
- 2C26 競争的資金の制度設計に関する考察
- 1C18 モデルを用いた技術変化と情報収集が競争に及ぼす影響の分析
- 2A01 モデル分析に基づくプロジェクト選定方法の検討
- 2B10 技術クラスター概念を用いた「特化」の経済効果分析
- 1C6 日米欧の技術と生産の特化構造比較
- 1B6 米国特許を用いた技術構造の国際比較
- 科学技術基本計画後の日本の研究開発システムの抱える課題に関する一考察