東亜蘚類考察
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概要
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7. ミドリヒラゴケ(Neckera viridis TOYAMA, sp. nov.) サガミヒラゴケ(Neckera kamakurana OKAM.) に依るがより大形で内〓花葉は常葉よりはるかに大きく,中肋の発達悪し,雄器は発見できず且子〓形成の盛んでない点より異株と考える.8. ヒメヒラゴケモドキ(Neckera brevicaulis BROTH.) 本種はCardot 氏により発表されて以来よくわからぬ種類である.材料の一つになったFaurie 157が京大にある.長崎の様に記載にはあるが,控標本にはOhsima, Juilet 1900と明記され,奄美大島の産である.之を検するに記載の如く葉の形大きさ,細胞の形大きさに於てNeckeropsis Lepineana (MONT.) FLEISCH. と大差なきも,茎は非常に短く4cm.を越えず,葉は八列につきさほど平らず一見してNeckera属と断定できる.屋久島産のものは子〓を有するので,センナンヒラゴケのFleischer氏の記載,図と相違を見るに内〓花葉尖に強い直立的鋸歯があり,外蘇歯は強く穿孔ありて全く平滑である点異る.大隅(高隈山)にも之とすべきものを採っているが,茎は多少のび内〓花葉尖には鋸歯がない(蘇歯不明)ので断定できずにいる.何れにせよセイナンヒラゴケと本種とは因縁浅からざるものと考える.屋久島にてセイナンヒラゴケと考えられているは本種の様である.9. コマノヒラゴケ(N. coreana CARD.) コタイプ標本は子〓がない,未だ子〓の記載はない.Brotherus 氏はEng.-Pr. Pfl-Fam. に於いてCryplopodiaに入ているがEuneckeraである.子〓の点はN. Konoi BROTH.に大差ない.10. コマノチヤボヒラゴケ(N. funrilis MITT. var. complanatula CARD.) 之も前種と同じ分布をする.本土にも産するようなれど明なる標本を入手せぬ.チヤポヒラゴケより小形で,平い植物で非常な差はない.
- 日本植物分類学会の論文
- 1937-01-15
日本植物分類学会 | 論文
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