京都府の由良川より得られたNavicula属の1新種と1新変種
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概要
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由良川は京都府の北半を流域とし、若狭湾(日本海)に注ぐ流堤146kmの河川で、京都府下の河川中で最大のものである。われわれは近年この川の珪藻植生を調査し、そこから次のNavicula属の1新種と1新変種を見出した。Navicula yuraesis sp. nov. (Fig. 1, A, B, C)殻面は披針形で両端は急激に細くなるが、その先端は円い。殻長18-37μm, 殻幅5.5-7.5μm。縦溝線は真直ぐで、細線状、両末端裂溝は同じ方向に彎曲している。軸域は鮮明で、直線状であるが、末端部で僅かに拡がっている。中心域は横に拡がり多少円いが、その形は変化に富む。横條線は10μm間に12-14本並び、末端部では収歛していて、10μm間に14-16本並ぶ。由良川の殆ど全域(淡水域から汽水域まで)に分布するが、わが国の他の諸河川にも広く出現するものと思われる。Navicula cremorne HOHN et HEFFERMAN var. salinarum var. nov. (Fig.1, D, E, F)殻面は披針形で、両端は急激に細くなるが、その先端は円い。殻長20-38μm、殻幅6.5-8.0μm、縦溝線は真直ぐで、細線状、両末端裂溝は同じ方向に彎曲している。軸域は鮮明で、直線状であるが、末端部は僅かに拡がっている。中心域は大きさにおいても、また形においても、変化に富むが、一般に横に拡がり、多少円い。横條線は10μm間に28-32個連なる細短線より構成されているが、それらは中心部では放射状で、疎に配置されていて、多少彎曲したものから成り、しかも長短入り乱れ、10μm簡に10.5-12.5の割合で並び、末端部では真直なものが平行して、10μm間に13-14本の割合で並ぶ。由良川の河口附近の汽水域に出現するが、海にも産する可能性が高い。
- 日本植物分類学会の論文
- 1983-04-25
著者
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根来 健一郎
Department of Fishery, Faculty of Agriculture, Kinki University
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後藤 敏一
Faculty of General Education, Kinki University
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後藤 敏一
Faculty Of General Education Kinki University