東カリマンタンのシダ植物補遺1
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概要
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筆者らが1978年から79年にかけてインドネシア領ボルネオの東カリマンタン州を調査した際に確認することのできたシダ植物については、本誌31巻から32巻にかけて3報に分載、報告した。その後、加藤が1980年から81年にかけて、また81年には両名が、東カリマンタンでさらに調査を実施することができた。この報告では、80年、81年の調査で確認したものののうち、第1回の調査では東カリマンタンで採集していなかったものを列記している。81年には山地での調査も行ったので、追加したものが多い。これまでカリマンタンに記録されていなかったものも多いが、それはまだ調査の不十分なこの地域では当然予想されていたことである。新種で報告したもののうち、ホングウシダ属の1種はイヌイノモトソウに近いが、葉が2型になって硬紙質になる点で顕著である。シシラン属のものは、葉が何回か叉状に分岐する点で、シシラン科にはみられない特徴を持っている。たがいに隣接する3カ所で、大量の資料が得られたが、群落のすべてについて同じ性質を示しており、奇型的なものではない。
- 日本植物分類学会の論文
- 1983-04-25