ハマボウ群落の分布と生態
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概要
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ハマボウは奄美大島から神奈川県三浦半島天神島まで分布し,しばしば群落をつくる。その生育地は主として小河川の下流および河口付近や砂嘴や陸けい島の内湾側,入江の奥の塩湿地などの高潮線付近であり,流水や波浪の影響を直接受けない所である。その群落は淡水の流入する泥質または砂泥質の塩湿地に多く,砂質土壌の場合は腐植がよく発達した立地である。比較的大きな群落が見られる地域は,三重県南東郡,和歌山県南西部,愛媛県南西部,熊本県天草諸島,宮崎県北部で,これらの地域の多くは沈降海岸で入江が発達し,ハマボウの生育に適していると考えられる。そのうち最大のものは,三重県度会郡南勢町伊勢路川河口に発達したもので,次いで愛媛県南宇和郡御荘町馬瀬の群落である。種組成は単純で,ハマボウ1種が低木層に優占し,草本層は種数乏しく植被率も低い。この群落はハマボウ群集(新群集)として命名され,ハマオモト,マサキの有無によって2つの下位単位に分けられた。
- 1979-12-20