キブシ属(キブシ科)の生殖器官の解剖学とその類縁関係
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概要
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キプシ属の生殖器官の解剖学的特徴をこれまでの研究結果と今回の観察結果を合わせてまとめ,分子データから類縁関係が示唆されたクロッソソマ科,ミツバウツギ科,ゲイッソロマ科と類縁関係の比較検討を行った。その比較検討の結果,キブシ属はクロッソソマ科,ミツバウツギ科とよく似ており,クロッソソマ科とは葯の表皮細胞が残ること,始原細胞が複数あること,外種皮が薄いこと(4〜5細胞層),外種皮の細胞が非常に厚膜化すること,種衣があることから特によく似ていることが分かった。しかし,キブシ属は倒生胚珠を持っており湾生胚珠を持つクロッソソマ科とは明らかに異なっていた。従って,生殖器官の解剖学の結果からキブシ属はこれと姉妹群の関係にあるクロッソソマ科と同様にキブシ科として独立の科と扱うべきであり,ミツバウツギ科およびゲイッソロマ科と近い類縁関係にあることが示唆された。しかし,ゲイッソロマ科は生殖器官の解剖学についてほとんど分かっておらず今後の研究が望まれる。
- 日本植物分類学会の論文
- 2000-02-28