小笠原諸島産ハツバキ(トウダイグサ科ハツバキ連)の花の形態とその分類学的意味
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概要
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小笠原諸島に産するハツバキの花の形態と構造はこれまで正確に理解されていなかった。そのため, ハツバキ, およびこれとの比較のためアフリカ産のハツバキ連3種とアジア産ハツバキ連2種の雄花と雌花を実体顕微鏡, ミクロトーム切片, 及び走査型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果, ハツバキは日本庭ハツバキ連のもう一種である琉球列島のツゲモドキ属ツゲモドキ(Putranjiva matsumurae)とは, これまで知られていた雄しべの本数の違いのほかに花盤の有無でも異なることがわかった。すなわち, ツゲモドキは花盤がないのに対し, ハツバキは花盤を持っていた。ハツバキとツゲモドキはこれまで常に同属と扱われてきた。しかし, 花の形態が大きく異なるため, 現在利用されているWebsterの分類システムに従ってハツバキをッゲモドキとは別属(ハツバキ属Drypete)のDrypete integerrimaとして扱うべきである。また, ハツバキ属(Drypetes)の花盤は解剖学的に見れば, 細胞質に富んだ, 良く染まる小さな細胞から作られ, その向軸側には気孔に似た孔が散在している。これらのことから, 花盤は蜜腺であることが分かった。
- 日本植物分類学会の論文
- 1998-02-28
著者
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