我が国における退職給付会計基準設定のインパクト : 財務諸表における開示と影響
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概要
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本報告では、我が国において昨年示された「退職給付会計にかかる意見書」についてたこれまで企業がどのような形で退職給付に対応し、さらにこの基準によってどういった対応を迫られるかについてみていく。退職給付の性格が労働の対価として把握されるのであれば、その支払いは当然の義務となる。しかしながら、企業が行っている積立は現時点で考えると将来の給付に十分なものとは言えないのが現実である。会計基準の設定は、こうした企業の給付に対する見込みの甘さを顕在化させるばかりではない。その顕在化により資金調達が困難となることも考えられ、重大な問題となる。また、その解消が進まなければ積立不足はさらに膨張していくことが十分予想される。会計基準導入前までに、企業はそうした積立不足をなんらかの形で解消しようといろいろな対応策をとってきている。しかしながら、その対応はほとんどが企業側都合による対応となっている。本来保護されるべき受給権が軽視される形でなされることから、今後の企業年金法制定も睨みながら、企業のとるべき対応を再度検討してみることにする。また会計基準ばかりでなく先日公開された実務指針についても企業の会計処理を事実上規定するものであるため、その影響についてもここで触れてみることにしたい。
- 日本経営教育学会の論文
- 1999-10-30
著者
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