キャッサバ育種におけるCIATの国際協力 : IV.品種育成と社会経済的効果
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概要
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アジア各国の育種プログラムによるCIAT関連のキャッサバ奨励品種は, 1984年のタイのラヨン3号に始まり, 現在では24を数えている。またpre-releaseされた系統で, そのまま農家の栽培にまかせられているものは更に多数である。初期の品種は, CIATの選抜系統がそのまま奨励品種になったものも多かったが, 最近ではCIATの交配親を使った材料からの現地選抜の品種の割合が, 高くなりつつある。これら品種の交配親の出身国は, ラテンアメリカを中心に, 10ヶ国以上にわたっており, 国際ネットワークによる育種を物語っている。ラヨン3号, ラヨン60号とインドネシアのアディラ4号が, それぞれ5万ha以上の栽培面積に拡がっており, 奨励品種全体の栽培面積は目下30万haを越えたところと推定されている。これら品種による付加経済価値は, タイ, インドネシア, 中国, フィリピンの4国に於いて, 第一次産品の農場価格だけで, 1987-93年の7年間に128百万米ドル規模に達していると推定される。これは, それぞれ11.3百万米ドル, 5.5百万米ドルと推定される, CIATキャッサバ育種プログラムとこれらアジア主要4ヶ国のキャッサバ育種プログラムの過去20年間の経費を, はるかに上回るものである。この過程を通じて, タイ, 中国, インドネシア, ベトナム, フィリピン, マレーシアのキャッサバ育種プログラムは着実に力をつけた。作物の遺伝子資源の改良と利用を, 熱帯諸国の育種プログラムと共に進めるという, 国際農業研究機関(CGIAR)の役割を, この遅れて来た作物キャッサバでも, ささやかながら果しつつあると考える。
- 1995-12-01
著者
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