キャッサバ育種におけるCIATの国際協力 : I.遺伝資源の収集・利用と育種体制の確立
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概要
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熱帯の大作物キャッサバ(Manihot esculenta CRANTZ)は, 農学研究先進地の温帯諸国には全くなじみのない作物であるのと, 熱帯でも小農がやせ地で作り貧乏人が食べる作物との伝統的なイメージが手伝って, 過去に組織的な研究の対象になる事は少なかった.食料としての重要性と, 加工性の高さから, 近年アフリカ及びアジアでの生産の増加が著しく, 原産地南米のコロンビアのCIATに世界を対象とする育種プログラム, アフリカ, ナイジェリアのIITAにアフリカを対象とする育種プログラムが1970年代初頭に設立された.その後, ようやく各国の育種研究体制も設立整備の方向に向かいつつある.アジアのキャッサバについては, CIATのアジア支所がタイ国研究機関と共同で基礎育種材料の育成を行い, 各国育種プログラムはこの育種材料を利用して育種を進めるという研究ネットワーク, 役割分担が効率よく進みつつある.ここから生まれた品種のいくつかは, タイ国, インドネシア等でそれぞれ数万ヘクタールに栽培面積を延ばし, 社会経済的効果を上げるところまで到達している.この間, 実際の育種遂行にCIAT側も積極的に加わる事により各国育種プログラムの育種能力は着実に向上した.著者はこれらのほぼ総ての過程に加わる事が出来た.本報文シリースでは, この仕事の奥行きと広がりを, 熱帯で農業技術協力プロジェクトに従事する研究者および技術者や, これから熱帯農業研究にたずさわる次代の農業技術者に, 経験を通して伝える事が目的である.初回はコロンビアCIAT, タイCIATの育種プログラムを, 遺伝資源の収集保全及び有用性検定とその利用を通じて紹介した.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1995-03-01
著者
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